国公立大学と私立大学の偏差値は違う
ここでは、国公立大学と私立大学の偏差値を並列して考えてはいけない理由について説明します。
この記事を読めば、国公立大学の偏差値が低くなってしまうメカニズムが理解できるはずです。
文系・理系の偏差値については、「理系と文系の偏差値は違う」の記事をご覧ください。
国公立大学の偏差値が低くなる理由
では以下の例を見てください。
大阪市立大学[経済・公]61
関西大学[経済]59
関西大学[経済]59
これは某サイト上の偏差値ランキングからの一部抜粋です。
今回は同じ文系の学部同士の比較ですので、文系学部に対する補正(参照:「理系と文系の偏差値は違う」)は行っていません。
ご存知かもしれませんが、大阪市立大学は有名公立大学、関西大学は有名私立大学です。
これら二つの大学の同じ経済学部の偏差値の差は、この表によると 2 しかありません。
では、関西大学に合格できる実力がある学生は、大阪市立大学を射程圏を捉えているのかというと、そうとは言えません。
何故なのか、それはやはり母集団の違いによって起こります。
またこの場合は、国公立と私立の受験システムの違いによっても影響を受けています。
結果から言うと、国公立大学の偏差値は低くなり、私立大学の偏差値は高くなります。
まずは、国公立受験と私立受験について、オーソドックスな受験方式を理解していただかないといけません。
大学の受験システム
国公立受験(一般入試):
1月半ばに行われるセンター試験のうち5教科7科目を受験し、それらの得点を各大学の傾斜配点に沿って計算し直した得点(1)
2月末に行われる各大学別の個別試験(2次試験)を受験し、それらの得点を各学部の配点に計算し直した得点(2)
(1)と(2)を合算した総得点で、上から順に入学定員の人数が合格。
1月半ばに行われるセンター試験のうち5教科7科目を受験し、それらの得点を各大学の傾斜配点に沿って計算し直した得点(1)
2月末に行われる各大学別の個別試験(2次試験)を受験し、それらの得点を各学部の配点に計算し直した得点(2)
(1)と(2)を合算した総得点で、上から順に入学定員の人数が合格。
私立受験(一般入試):
1月末から3月にかけて行われる個別試験を受験(複数日程可能)した得点で、上から順に入学定員の数倍(学校による)の人数が合格。
1月末から3月にかけて行われる個別試験を受験(複数日程可能)した得点で、上から順に入学定員の数倍(学校による)の人数が合格。
これだけの受験方式の差がある時点で、偏差値を横並びに比べることが既にナンセンスなのがおわかりでしょうか。
国公立大学と私立大学では勉強する科目数が全然違う
国公立大学受験では、5教科7科目の学習が基本的に求められます。
つまり簡単に言ってしまうと、7科目の平均偏差値で国公立受験は考えないといけません。
それに対して私立大学受験では、3〜4科目の学習、場合によっては1科目でいい時もあります。
つまり、3科目の平均偏差値で私立受験は考えることになります。
この条件では、圧倒的に私立大学の偏差値は高くなり、国公立大学の偏差値は低くなります。
具体的な例を出します。
大阪市立大学に合格したいと思った場合、理系文型問わずセンター試験の数学で80点以上の得点を求められます。
他の科目が相当抜きんでているのであれば話は別ですが、有名国公立大の合格者の多くは少なくともこれくらいを取っています。
同様に、生物(に限らず理科)でも8割くらいの得点が無いと、市大受験は遠のいてしまいます。
この得点、理系の生徒でも簡単には取れません。
つまり、国公立大学を受けるのであれば、文系の生徒でも数学をかなり勉強することになります。
また、国公立大学の場合、センター試験も二次試験も一回きり。
それに対し、私立大学の受験方式は多数、日程もたくさんあります。
形式を変えれば、同じ大学を5回受験することだって可能です。
更に、私立大学については、入学定員の数倍の数の受験者を合格にします。
これは歩留まり率というものが関係しています。(詳しくは割愛させていただきますが)
大半の私立大学の受験生は、複数の大学を併願します。
よって合格者のうち、一部は入学せずに他の大学に行ってしまうことになります。
私立大学はこれを見越して、予め多くの人数を合格にするのです。
いかがでしょう?
国公立大学と私立大学の偏差値を比べるのがいかに無意味かわかってもらえたでしょうか?
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私立大学が合格しやすいわけではない
これまでの内容だけを読むと、なんだか私立大学はとても合格しやすいように思えてきますが、そんなことは決してありません。
確かに国公立大学に比べるとまだ容易かもしれませんが、関関同立や早慶上智レベルはもちろん、中堅レベルでも大学入試は合格しにくいです。
まず第一に、大学受験の倍率はとても高く、いくら多く合格が出ると言っても、この中で上位に入らなければいけないことには変わりません。
更に、上のレベルであればあるほど、受験者の中の格差が大きくなります。
私立大学の受験者の3つの層
どういうことかというと、私立大学受験者の中には
1.努力してなんとか受験できるレベルに達してきた人(チャレンジ層)
2.適正レベルで、実力を出し切ればおそらく通るだろうと思われる人(適正層)
3.滑り止めとして受けるため、ほぼ間違いなく受かる人(滑り止め層)
2.適正レベルで、実力を出し切ればおそらく通るだろうと思われる人(適正層)
3.滑り止めとして受けるため、ほぼ間違いなく受かる人(滑り止め層)
この3種類の人がいるからです。
関関同立レベルの場合は国公立大学の滑り止めとして受験する場合が非常に多いため、受験はかなりシビアなものになります。
これらの強豪は、7科目の偏差値が60を超えていることが多く、得意な3科目なら偏差値68とかがザラにいます。
自分で1や2に当てはまると思う人は、このことを十分理解しておいてください。
「理系と文系の偏差値は違う」では、理系と文系の偏差値の違いについて解説しています。
私立大学の受験については以下の記事も参考にどうぞ。
「私立大学の受験勉強で意識すべき3つのポイント」
「私立大学の公募推薦入試、いつから勉強する?」
偏差値以外の面から大学を見ることも大切
大学について調べるとき、偏差値だけで大学を判断するのはオススメできません。
その一つ一つの大学には個性があります。
同じ偏差値の大学でも、就職率が違ったり、食堂がキレイだったり、いろんなところが違うのです。
他にも、数字では表せないような特徴が、いろいろなところにあります。
例えば、大阪大学と神戸大学では、偏差値上の差はそれほどありません。
しかし、通っている大学生の雰囲気は結構異なります。
近くにある私立大学の数が違ったりして、サークルなどの雰囲気もガラッと変わるのです。
こうした情報は、肌感覚でわかることなので、数字では絶対に分かりません。
偏差値だけで大学を決めていると、「やっぱりあっちの大学にしておけばよかった…」と後悔することも珍しくありません。
皆さんはそうならないために、実際にオープンキャンパスに行くなどして、雰囲気を掴んでほしいです。
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