偏差値ランキングを正しく読めていますか?
偏差値ランキングの盲点
大手の予備校や多くのサイトで、各々が作成した大学の偏差値ランキングが公開されていることがよくあります。
しかし、この”偏差値”の意味を正しく理解していないと、これらの表から誤った情報を得てしまうことになります。
これは別に、その偏差値表が嘘をついているという意味では決してありません。
どういうことなのか、簡単に説明します。
まずは偏差値というものがどういうものなのかを、ザックリとでいいので理解しましょう。
偏差値とは
偏差値とは平均との差
偏差値というものは、端的にいえば、平均値からどれだけ離れているのかを示す値です。
ある人が平均点と同じ得点を取った時、その人の偏差値は50となるように計算されます。
そして、周りが平均値に近い得点が多いとき、偏差値は上がりやすくなります。
何故かというと、皆が平均くらいしか取れないテストで満点を取るのと、同じ平均点でも満点者続出の中で満点を取るのとでは価値が違うからです。
また当然ながら、平均点が低いとき、得点が一緒でも偏差値は上がります。
(本題から逸れてしまうのでここでは割愛しますが、詳しく知りたい人は統計学の分散や偏差値について調べてみてください)
なんとなくわかってもらえたでしょうか?
それでは本題に入りましょう。
偏差値ランキングを間違えて読む理由
偏差値表を誤って読んでしまう原因、それは先程申し上げた、偏差値が平均値からどれだけ離れているのかを示すことが原因です。
そもそも、平均値は、母集団によって大きく変動するという性質を持っているため、当然偏差値を比べるときには母集団が一緒でないといけません。
簡単に言うと、普通の公立高校の学年順位で上位(学校内偏差値60)と超進学校の私立高校の学年順位で真ん中あたり(学内偏差値50)では、偏差値だけ見れば前者の方が上ということになります。
しかし、わかってもらえると思いますが、学力で考えれば明らかに後者の方が上ですよね?
これは母集団の違いによって起こる、数字のトリックです。
これと同じことが、大学の偏差値でも起こっています。
偏差値ランキングの違和感
わかりやすく例を出しますと、以下の情報は某サイト上の偏差値ランキングから抜粋したものです。(2014年1月現在)
神戸大学[経済・国]66
大阪大学[工・国]65
同志社大学[文]65
大阪市立大学[文・公]63
筆者が関西出身なため、例が関西の大学となってしまい、その他の地方の方では少し想像しにくいかもしれませんが…。
これを見てどう感じましたか?
違和感を感じませんか?
大阪大学も神戸大学も、国立大学として全国的に有名な大学です。
しかし、大阪大学は旧帝国大学、しかもこの表にあるのは理系の工学部です。
一方、神戸大学は文系の経済学部。
いくらなんでも、実際に神大が上ってことは無いと思いませんか?
また、大阪市立大学は確かに公立大学の中では有名で、レベルも低いわけではありません。
しかし、阪大工学部との偏差値の差が2しかないなんててことは無いでしょう。
同志社大学についても、阪大や神大と比べてこのレベルというのは高すぎ、不自然と言わざるを得ません。
これらの違和感は母集団の違いから起こる数字上のトリックです。
先程の違和感は、実は二種類の母集団差によって生み出されています。
おわかりでしょうか?
理系と文系、国公立と私立、です。
これらについて、次のページ(理系と文系の偏差値は違う)以降で解説していきます。